自動車産業を取り巻くサイバー攻撃が増加する中、自動車メーカーだけでなく、部品メーカーやサプライヤーを含めたサプライチェーン全体でのセキュリティ対策が求められています。「自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドライン」では、自動車産業に関わる企業が取り組むべきセキュリティ対策を定めています。本ページでは、ガイドラインの概要やログに関する要求事項、対応におけるログ管理の課題と、SIEM・統合ログ管理システム「Logstorage」による支援について解説します。

自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドラインとは

「自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドライン」は、一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)と一般社団法人 日本自動車部品工業会(JAPIA)が共同で策定したガイドラインです。

自動車産業では、ITインフラ環境や制御システムなど、企業が管理する情報システムのインターネット接続が進む一方、関係企業や取引先などを足掛かりとしたサプライチェーン攻撃も懸念されています。

こうした背景を踏まえ、自動車メーカーやサプライチェーンを構成する企業に求められる、自動車産業固有のサイバーセキュリティリスクを考慮した対策フレームワークや、業界共通の自己評価基準を示すことを目的として策定されました。

※最新版は「2.3版」で、2025年9月1日に発行されています。 2.3版では、付録のチェックシートが改定されています。

自工会/部工会ガイドラインの対象企業・部門

本ガイドラインは、自動車産業に関係するすべての会社を対象としています。想定読者として、以下のようなセキュリティ業務に関与する部門の責任者・担当者が挙げられています。

  • CISO
  • リスク管理部門
  • セキュリティ対応部門
  • 監査部門
  • 情報システムの開発/運用部門
  • データマネジメント部門
  • サプライチェーンの管理責任を負う購買や調達部門
  • その他のセキュリティに関わる部門(人事・法務・総務)

また、対象範囲は、特定の業務領域によらず全体の業務に共通するエンタープライズ領域(業務基盤となるOA環境)とされています。

ガイドラインの要求事項と達成条件

ガイドラインは、複数の要求事項と153の達成条件で構成されています。自動車産業サプライチェーン全体のセキュリティ向上を目的として、企業の規模によらず優先して実施すべき項目に加え、取り扱う情報に応じて標準的に目指す項目や、最終到達点として目指す項目が設定されています。

出典:自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドライン 2.3 版

各達成条件は、セキュリティ対策のレベルに応じて、Lv1~Lv3に分類されています。

出典:自工会/部工会・サイバーセキュリティガイドライン 2.3 版

また、達成状況を確認するための「チェックシート」が付録として用意されています。

ガイドラインでは、自動車産業のサプライチェーンを支える企業が、実施すべき基本的なセキュリティ対策に抜け漏れがないか、年1回以上を推奨する定期的な確認、または必要に応じた確認を行い、自社のセキュリティ向上に活用することが示されています。

一方で、チェックシートで「未対応」となった項目について、具体的にどのような仕組みを導入し、どのように運用すればよいのか判断が難しいケースもあります。

なかでも「ログ」に関する対策が重要

ここからは、ログに関わる項目をご紹介していきます。

ラベルNoレベル達成基準
9.アクセス権53Lv2【規則】
・法規制等により要求される事項を満たす事ができるよう、適切な期間のログを保持する。
・ログを脅威から保護するため、ログを保存するモノ、システムにアクセス制御等を適用すること
15.社内接続ルール81Lv3【規則】
・情報持ち出しに関するログを分析して不正な持ち出しが検知できること
・不正な持ち出しが発生した場合は、アラートが通知できること
18.認証・認可122Lv3【規則】
・認証ログのモニタリングを実施し、不審な認証を検知できること
【対象】
・パソコン、サーバーの認証ログ、重要システムのデータベースアクセスログ
【頻度】
・1回/月以上
23.不正アクセスの検知142Lv2【規則】
・不正アクセスをリアルタイム検知・遮断する仕組みを導入すること
【対象】
・インターネットから社内への通信
・社内から不正なサーバーへの通信
【導入場所】
・社内外ネットワークの境界
23.不正アクセスの検知143Lv2【規則】
・下記ログを取得、保管している
[取得するログ(保管期間)]
-メールの送受信ログ(6カ月)
取得項目:日時、宛先メールアドレス、送信元メールアドレス
-ファイアウォールのログ(6カ月)
取得項目;日時、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス
-プロキシサーバーのログ(6カ月)
取得項目:日時、リクエスト元IPアドレス、URL
-リモートアクセスのログ(6カ月)
取得項目:日時、接続元IPアドレス、ユーザーID
-認証サーバーのログ(6カ月)
取得項目:日時、接続元IPアドレス、ユーザーID、成功/失敗
-エンドポイント(パソコン、サーバー)の操作ログ(6ヶ月)
取得項目:日時、ホスト名、ユーザーID、IPアドレス、操作内容

※クラウドサービスの利用も対象に含む
※クラウドサービスを利用しており保管期間の規則を満たせない場合は
リスクに応じて期間を各社で判断
23.不正アクセスの検知144Lv3【規則】
・ユーザー、管理者の操作ログを取得すること
[対象]
-重要なシステム ※対象はリスクに応じて各社判断
[取得するログの項目]
-ユーザーID、タイムスタンプ、操作内容(ログイン、ログアウト、
追加・削除などの操作)
[保管期間]
-6カ月
※クラウドサービスを利用しており保管期間の基準を満たせない場合は
リスクに応じて期間を各社で判断
23.不正アクセスの検知145Lv2【規則】
・ログを常時分析し、異常発見時に通知する仕組みを導入すること
[分析対象]
-プロキシサーバー、IPS/IDS、ファイアウォール、エンドポイントのいずれか、または組み合わせ
[監視時間]
-24時間/365日
[機能要件]
-インシデントアラートが即時発報されること
-インシデントの速報レポートが作成され、通知されること

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ここまでご紹介したように、本ガイドラインにはログに関わる項目がいくつも存在します。しかし、組織のシステム環境に適したログの収集方式を検討したり、長期保管によるディスク容量逼迫への対策を講じたりと、その対応は決して容易ではありません。また、「自動」や「仕組み」という単語が随所に出現していることから、システムの利用は必須であると言えます。

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